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本橋信宏作家

1956年、埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。私小説的手法による庶民史をライフワークとしている。バブル焼け跡派と自称。執筆はノンフィクション・小説・エッセー・評論まで幅広い。“東京の異界シリーズ”第5弾「高田馬場アンダーグラウンド」(駒草出版)発売中。「全裸監督 村西とおる伝」(新潮文庫)が、山田孝之主演でNetflixから世界190カ国同時配信決定。

「降りたことのない駅」には何がある?

公開日: 更新日:

 本体である学校は現在、都立鷺宮高校として命脈をたもっている。

 西武鉄道が学校の陳情で、お隣の鷺ノ宮駅から300メートルしか離れていない位置に駅をつくった背景には、西武池袋線の大泉学園駅、西武多摩湖線の一橋学園駅のように、西武鉄道がイメージのいい沿線の学園都市をつくりたかったからではないのか。

 そんな鉄道の謎をひもときながら、いままで通り過ぎていた駅に降りて、街歩きをしたのが本書である。

 JR常磐線三河島駅も印象深い駅だった。

 1962(昭和37)年5月3日夜9時。脱線・衝突事故で160人死亡という戦後最悪の鉄道事故が発生した。

 当時、幼稚園児だった私はモノクロのニュース映像に映った悲惨な事故現場と三河島という地名が強烈な印象として刻まれている。負のイメージが強すぎる三河島は消滅し、いまでは東日暮里、荒川といった住所に変わっている。

 1人の男性犠牲者が最後まで遺族、関係者が名乗りをあげなかった。20代後半~30代、丸顔、モンタージュ写真まで作成されたが遺体番号88のままいまに至る。

 何げなく通り過ぎる駅に降り立ち、まだ知らない東京を探した。

【連載】本橋信宏 萌える火曜日

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