就職氷河期世代を襲う「年金3割減」の恐怖…政府放置で「楽しい日本」は「絶望の日本」まっしぐら
実質賃金が100年伸び続けるの無理筋
政府が「様子見」を決め込むのは、数字のマジックゆえだ。長妻氏は「政府は今後100年間、毎年実質賃金が1.5%伸び続けるという『成長型ケース』を無理やり予想して年金制度に何も手を付けない」と批判。実質賃金の伸びが過去30年で0%、直近ではマイナスであることを引き合いに「こういう無責任なことは困る」と追及した。
それでも、福岡氏は「経済成長の状況を見ながら」の一点張り。石破首相に至っては「年金制度を維持していくことが一番重要」などとお茶を濁した。この調子じゃあ、氷河期世代の年金給付額は下がる一方だ。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。
「そもそも、平均的な収入で40年間働いた会社員の夫と専業主婦の妻の世帯という『モデル年金』が時代錯誤で、制度自体も複雑化して分かりにくい。国民からの理解を脇に置いて、政府が示すのはバラ色の予測ばかり。基礎年金を底上げしたければ税金部分を3分の2に増やすとか、現実的な議論をすべきです。問題を棚上げして、詐欺師のごとく『老後に備えた投資』を呼びかけていますが、何の解決にもなりません」
コツコツ年金を払っても、実質減では目も当てられない。「楽しい日本」どころか、「絶望の日本」じゃないか。
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政府は今年8月から高額療養費制度の負担上限を引き上げ。難病患者を見殺しにして「楽しい日本」になるわけがない。●関連記事【もっと読む】『何が「楽しい日本」か? 高額療養費制度の負担上限引き上げで、中間層は1カ月最大13万8600円の負担増』に詳しい。