ちきり清水商店 清水喜市郎社長(1)天明2年創業、焼津の老舗かつお節屋の19代目として
■カビ付けと天日干しを4回繰り返す
「扱っているかつお節は、鹿児島県枕崎市の揚村鰹節商店さんが丹精込めて作った手作りの本枯れ節です。風味の決め手となるカビ付けと天日干しを4回繰り返し納品されるまで約5カ月を要する逸品なんですよ」
清水社長の生い立ちを振り返ろう。
「母の実家は熱海の日本そばの名店で、父とはお見合い結婚でした。私は長男だっただけに、父方はもちろん、母方の祖父母にもとても可愛がってもらったと思います」
70年代から80年代は日本経済は右肩上がりが続いており、それに伴って派手になった婚礼の引き出物に縁起物のかつお節は引っ張りだこ。仏事のギフトにも重宝され、売り上げは急上昇していた。
「私が生まれる前年に商品センターを新設し、83年には工場を現在の焼津市大住に移転。87年に隣接して第2工場を増設して生産能力をアップさせました。父は仕事に追われるあまり家を空けることが多く、年に1度の家族旅行が凄く楽しみでしたね」