ちきり清水商店 清水喜市郎社長(1)天明2年創業、焼津の老舗かつお節屋の19代目として
国内屈指の水産基地として名高い焼津港。静岡県のほぼ中央に位置し、マグロ、カツオといった遠洋漁業が盛んなため、昨年の水揚げ量は11万6702トンで全国3位、金額ベースでは459億1249万円と6年連続日本一を誇る。特にカツオの水揚げ量は国内の約3割を占めており、漁港のそばに水産会社や加工会社が軒を連ねている。
中でも江戸時代の天明2(1782)年創業の「ちきり清水商店」は、日本の食卓に欠かせない最高級かつお節を主力とする老舗中の老舗。実に241年もの歴史を刻んできた。
「『ちきり』には、“つなぐ”“つなげる”という意味があります。住宅建築の際に木と木をつなぐために埋め込み、かすがいにする木片を『榺締め』というのですが、家庭の味を代々継承する、家族の絆をつなぐという意味もあります。そして弊社としては、『かつお節を通じてお客さまと我々をつなげる』という意味を込めて、1972年に清水已之助商店から社名変更しました」
こう話す清水喜市郎社長は77年6月生まれ。18代・裕之氏と妻の正枝さんが授かった2男1女の長男で、ちょうど10年前の2013年に19代を継承した。