昭和の名残を歩く…「治安が悪い」「買い物難民」「高齢化の波」という現実
横内団地
神奈川県の湘南地域にある横内団地は、近隣の工業地域の労働者を受け入れる目的で1960年代につくられた。30年ほど前から工業地域で働く外国人も増え、それに伴って団地には外国籍の入居者が増えてきている。
訪れたのは11月の終わりごろ。乾燥した冷たい空気が肌寒く感じる夕方だった。老朽化した団地の建物は外壁がススで汚れたように黒く汚れて、西日の影になっている部分はより一層薄暗く感じられた。
団地内の公園で遊ぶ子供たちが話していたのは中国語。東南アジア系のルーツを思わせる顔立ちの子供も多く、外国人の流入が進んだ現状を物語っているようだった。
団地のはずれにあるたばこ屋の高齢の女性はこう話す。
「この団地にはできた当初から住んでいます。昔は団地の夏祭りも盛大にやって、みんな楽しそうでした。けれども、子供は巣立っていき、残された人々は高齢になり、祭りに来る人も少なくなりました。屋台を切り盛りする大人もいなくなり、遊びに来る子供もいなくなったため、数年前に夏祭りをやらなくなってしまいました。本当に寂しいです」
外国人の流入によって特段困ったことはないと話すのは、50代の女性住人だ。
「外国の方には日本語が通じないこともあり、ゴミ出しのルールで揉めることもあります。でも、挨拶もしますし、悪い人が多いというわけではありません。湘南という土地柄か、この団地は長らく『治安が悪い』と言われていますが、本当にそうですかね。確かに警察沙汰もありますが、悪い人はどこにでもいるじゃないですか」