著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

ダイドーリミテッド(下)旧村上Fグループは高値で売り抜けか?

公開日: 更新日:

 7月4日、25年3月期の年間配当を、1株当たり100円に積み増すと発表した。従来予想より95円多い。それどころか27年3月期までの3年間は年100円の配当を基本とする。同時に最大50億円程度の自社株買いを実施する。株式還元の大盤振る舞いだ。

 翌5日にダイドー株は急伸。制限値幅の上限(ストップ高水準)となる前日比150円(16%)高の1095円で取引を終えた。ところが12日に提出された変更報告書によると、南青山不動産もSCも5日に保有する全株式を売却していた。当日の出来高の68.9%が両社の売却分だったと株式専門紙が報じている。会社側に働きかけて大幅増配を発表させ、株価が急騰したタイミングで売り抜けた。村上ファンドグループのしたたかさをみせつけた。

 その後の株価は7月4日以来の4ケタ(1000円)割れとなった。

 日本証券新聞(7月17日付)は<いかにも性急な全株売却。株主側(村上F側を指す)のモラルが問われることになるが……>。この件を伝える日経QUICKニュースでは、<会社側の増配を企業価値を減らして買収の魅力を削る『焦土作戦』。(村上Fの)全株売却については、「数年計画で企業価値を高めようと考えていた予定が狂わされ、やむにやまれぬ結果だった」>など、株主側に好意的な見方をしていた。

 今後の株価の動向だが、空気の抜けた風船のようになる、との厳しい指摘がある。

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