著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

北越コーポレーション(下)バトルの根底は大王製紙創業一族の抗争にあった

公開日: 更新日:

父が残したメモで復讐を決意

 創業家(本家)は、株式の売却代金(100億円)を原資に大王の子会社からの借金とカジノの未清算金の弁済を行った。大王の“中興の祖”と呼ばれた井川高雄は不肖の息子・意高がつくった莫大な借金をすべて返済し、尻拭いをした。その結果、創業家(本家)が3代にわたり君臨してきた大王の支配権を失った。

 会社法違反(特別背任)の罪に問われた意高は13年6月、懲役4年の実刑判決が確定し、4年近く服役した。刑期満了で実家に戻った意高は、19年9月父の死に遭遇する。

 父の死後、書斎から走り書きが見つかった。井川家を大王製紙から排除した佐光について、父は次のようなメモを残した。

「佐光とは“共死”(筆者注:刺し違えて死ぬという意味だろう)にしても構わない」

 意高は復讐を決意する。22年6月、「熔ける 再び そして会社も失った」(幻冬舎刊)を出版した。キャッチコピーは「ギャンブルよりも血がたぎる。現会長佐光一派による井川家排除のクーデターが実行されていた」である。

<まさか佐光が自分に牙を剥き、兄弟たちも佐光側に寝返るとは、父は夢にも思わなかった。佐光と三男・俊高が裏で手を握り、残りの兄弟を全員佐光派にしてしまった>(同書)

 大王製紙の22年6月の株主総会の直前に、この本が世に出たため、佐光会長を再任する議案を取り下げた。ギャンブル狂の御曹司は、佐光の首を取って復讐を果たした。

 意高は23年7月にYouTubeチャンネルを開設した。この中で「井川意高が熔ける日本を斬る」。今回の北越コーポとオアシス、大王海運とのバトルについて〈井川俊高が狙う北越コーポレーション。知られざる大王海運とオアシスの闇〉を語っている。

 まだまだバトルは続きそうだ。=敬称略

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