著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

北越コーポレーション(下)バトルの根底は大王製紙創業一族の抗争にあった

公開日: 更新日:

 大王製紙の創業家一族が設立した大王海運が北越コーポの株式を大量に取得する狙いについて、北越コーポ側は次のように断じる。

〈大王海運は実質的オーナーの井川俊高が北越コーポが保有する大王製紙株を手に入れ、再び大王製紙を支配しようとする試みの先兵である〉

 大王製紙の大株主構成(2024年3月期時点)は、北越コーポが24.61%で筆頭株主。2位株主は信託口で、大王海運は5.62%を保有する3位の株主だ。同社のオーナー井川俊高は、北越コーポが持つ大王製紙株を手に入れ、悲願としてきた大王製紙のオーナーになることを狙っているというのだ。

 そこには創業家一族の血の抗争が横たわっている。

 一族間のバトルの発端は、11年に発覚した大王の創業家本家の3代目・井川意高元会長が起こしたカジノでのバカラ賭博事件だ。総額106億円を使い込んだ。

 この事件後、社長になった佐光正義ら経営陣は脱・創業家に踏み切る。創業家(本家)と経営陣の仲介の労をとったのが北越紀州製紙(現・北越コーポレーション)の岸本社長だった。〈06年、王子製紙のTOBの際に安定株主となってくれた大王製紙に恩義を感じている〉と語っていた。大王がホワイトナイトとして救いの手を差し伸べた。

 大王と北越が株式を持ち合い、反王子の立場で支援した。

 その縁で12年、北越は創業家が保有する大王株を取得し、筆頭株主になった。創業家(本家)のもつ大王関連会社の株式を北越が買い取り同値で大王製紙に転売、大王製紙本体の株式は北越が所有、持ち分適用関連会社とした。しかし、経営方針の対立が明らかになり、大王、北越両社の関係は悪化の一途をたどる。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動