エーザイ(上)創業家の世襲体制、限界を迎える…話題の“暴露手記”主要登場人物はほぼ全て実名

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娘婿は暴露手記のモデルに

 一時は内藤家内でも後継レースが行われているという見方があった。だが長女の配偶者のアイヴァン・チャン氏は、同社が力を入れる認知症薬部門のグローバルオフィサーで、米国の最高経営責任者を最後に、昨年7月に同社を離れた。同社が目下、最も力を入れている早期アルツハイマー病治療薬の「レケンビ」(一般名・レカネマブ)が、昨年1月に米食品医薬品局から迅速承認が下りた際、早朝の電話で現地のチャン氏から晴夫氏に「コングラッチュレーション」と伝えられたという話は、製薬担当記者の間では語り草だ。

「リーマンの牢獄」とは次女の娘婿が深く関わる。同書では主要登場人物はほぼ全て実名なのだが、斎藤氏の架空取引に関わり、さらには斎藤氏が近く逮捕されると分かるや、香港の地下銀行を通じた資産隠しを指導し、捕まる前の海外逃亡の手助けまでした人物のみ「黒崎勉」という仮名で登場する。斎藤氏は公言して憚らないが、この黒崎=クロサギこそが、次女の娘婿なのだ。この黒崎氏、20年には投資部門担当の執行役員に就いたものの、一度として対外的にお披露目されることはなかった。

 娘2人の配偶者がこのありさまなのだから、世襲を改めない限り、どうしたって景介氏の双肩にかかる負担は重くなる。ましてや来年25年は、晴夫CEOが16年に策定した10カ年の経営計画の節目の年。さらに翌26年には、同社のおよそ4割の売り上げを占める抗がん剤のレンビマが特許切れを迎える。エーザイにとって、今後の1~2年ほど大事な年はないのである。 =つづく

(ジャーナリスト・横関寿寛)

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