しゃぶ禅 菅野雄介社長(1)「マハラジャの生みの親」が立ち上げた「しゃぶしゃぶ専門店」
厳選された上質な牛肉をだしにくぐらせ、秘伝のタレでいただく。「日本料理 しゃぶ禅」は、1983年の創業以来しゃぶしゃぶの食べ放題にこだわり、国内外の客から愛されてきた日本料理店だ。このしゃぶ禅を全国で展開するしゃぶ禅株式会社を率いるのは代表取締役社長の菅野雄介氏。74年に東京の目黒で生まれた菅野氏は、父親が経営するしゃぶ禅に子どもの頃から訪れていたという。
「子どもながらにいつも繁盛していたことを覚えています。自分がいずれ後を継ぐなんて考えてもいませんでしたが、当時の肉やタレの味を舌が覚えていて、今の経営にも生かされています」
脱サラしてノヴァ・インターナショナル株式会社を起こした父親の菅野諒氏は、バブル期に一世を風靡したディスコ「マハラジャ」の生みの親。しゃぶ禅は諒氏がマハラジャを全国へとチェーン展開していく一方で、次の時代を見据えて立ち上げたブランドだ。まだしゃぶしゃぶの専門店が少なかった時代に、リーズナブルな価格で食べ放題を提供したしゃぶ禅は好評を博し、店舗数を増やしていった。
父親が事業を拡大していく様子を見ていた菅野氏だったが、興味を持つことはなかったようだ。立教大学の付属校に通い、学生生活や趣味の草野球は楽しんだものの、将来の夢や目指すものは見つからず、学業は次第におろそかになっていった。