トランプ勝利が招く国際混乱…米中関係、ウクライナ戦争、中東情勢すべてが波乱含み

公開日: 更新日:

「力による現状変更」を認める

■ウクライナ戦争

 ウクライナへ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、トランプ復活にほくそ笑んでいるに違いない。トランプが「ウクライナ支援はカネの無駄」と繰り返し、支援継続に消極姿勢を貫いてきたからだ。実際、トランプはウクライナ戦争について「私なら24時間以内に終わらせる」と豪語する一方、ウクライナの勝利を望むかどうかについては明言していない。

 米国の後ろ盾を失いつつあるウクライナのゼレンスキー大統領は6日、自身のXにトランプへの祝意を投稿。

トランプ大統領の『力による平和』への取り組みに感謝しています〉〈これこそがウクライナに平和をもたらすのであって、共に(和平を)実行に移すことを期待します〉などと協力を呼びかけた。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏が言う。

「米国の援助なくしてウクライナは戦争を続けられません。トランプ氏が言う『戦争終結』は結局、ロシアが侵略して奪った地域を固定化すること、つまりゼレンスキー大統領の妥協を引き出すことでしょう。『力による平和』どころか、『力による現状変更』を認めることになってしまいかねません」

■中東情勢

 イスラム組織との戦闘と称し、イスラエル軍がパレスチナ自治区ガザや隣国レバノンへ侵攻中。地元保健当局によると、ガザでは約4万3400人、レバノンでは約3000人が犠牲になったという。パレスチナ自治区への入植に対する制裁も歯止めになっていない。

「イスラエルのネタニヤフ首相はトランプ氏の再選に『歴史上、最高の復活』と賛辞を送りました。それほどまでにトランプ氏は“親イスラエル”なのです。かつてエルサレムをイスラエルの首都と承認したように、イスラエルの望むような支援を与え続けるのでしょう」(五野井郁夫氏=前出)

 パレスチナ住民の生存が脅かされる惨状に拍車をかけかねない。

  ◇  ◇  ◇

 11月6日の日経平均株価は大幅続伸。一時1100円超の上げ幅を記録し、前日比1005円高の3万9480円で取引を終えた。結果、マーケットの期待通り、米大統領選で共和党のトランプ前大統領が勝利。「トランプ買い」はいつまで続くのか。●関連記事【もっと読む】『米大統領選勝利で株価急騰1000円高!「トランプ買い」いつまで続く? 専門家が先行き占う』で詳しく報じている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    ふざけるな、石破政権もサラリーマン増税かよ!潰れたはずの「退職金課税」政府税調で再浮上

  2. 2

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  3. 3

    玉木雄一郎氏に「包囲網」…“グラドル不倫”騒動収まらず、自民・立憲・財務省で思惑一致

  4. 4

    飛び交う玉木雄一郎代表「12月辞任説」…国民民主党ついに倫理委員会で“グラドル不倫”調査

  5. 5

    ダイエー、イトーヨーカ堂…日本の小売りを支えた都市型総合スーパーが衰退した理由

  1. 6

    裏金自民「企業・団体献金の禁止」そっちのけで「個人献金の税制優遇」だあ?カネ集めのためなら“斬新策”次々

  2. 7

    斎藤元彦知事「百条委」の欠席理由「全国知事会」はそんなに重要? 自身の過去出席率は4割弱

  3. 8

    自民裏金議員12人が“ドサクサ復権”の仰天! 党役職抜擢の全員が政倫審での弁明は拒否した面々

  4. 9

    物議醸す石破首相の「座ったまま握手」は外務省の大失態! 外交デビューにミソ、元国際情報局長バッサリ

  5. 10

    1ドル=160円台の“悪夢”再来か…植田日銀「利上げは情勢次第」発言でズルズル円安に

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動