東京メトロはなぜ、ロンドン市営地下鉄の運営を受注できたのか? 意外に豊富な海外鉄道ビジネスの実績
「日本は英米など、自由主義経済圏の一員で、民主主義的な政治体制を共有しているという特徴があります。そのため、英国での鉄道事業を日本の会社が担うということには何の問題もないと考えているのではないでしょうか」
イギリスから見て、安全保障上の問題は発生し得ないということのようだ。小林氏は併せて、東京メトロが海外の仕事を受注することのメリットについて語る。
「東京メトロはそもそも、海外鉄道ビジネスに熱心な会社です。すでに海外技術コンサルティング業務を手掛け、ベトナムには現地法人があり、インドネシアでも都市鉄道の支援をしています。鉄道会社の成長を支える源泉の一つとして、海外鉄道ビジネスに参画し、その拡大を図ろうとしています。海外での鉄道ビジネスに日本のノウハウを輸出することで収益を得ようとしています。英国では、すでにJR東日本はウェスト・ミッドランズ・トレインズに出資し、鉄道事業を手掛けています。日本企業の実績もあるのです」
■東京圏だけでは成長に限界がある
鉄道会社たるもの、自社の沿線だけがビジネスの現場ではないということか。ビジネスの広がりとしては非常に夢があるようにも思えるが、その実態は切実なものだという。