東京メトロは“例外”だ 新規上場株の少なさは深刻…IPO市場が低迷する理由
東京メトロが10月23日に新規上場し、6年ぶりの大型案件に市場は沸いた。初値は公開価格(1200円)を36%上回る1630円をつけ、終値ベースの時価総額は1兆円を突破した。
だが、喜んでばかりもいられない。目を凝らして見ると最近の新規株式公開(IPO)の低調さが目立つからだ。
24年1~9月の新規上場の社数は前年同期比18%減の54社、7~9月では同27%減の16社で過去10年で3番目に少ない。この少なさは、市況の低迷でIPOの時期を先延ばしするなどの動きが出ているためである。
規模も小さくなっている。公開時の平均時価総額が1000億円を超えたのは単発バイト仲介アプリを運営するタイミー(1379億円)の1社のみ。時価総額100億円未満の「小粒上場」の傾向が強まり、前年7~9月に14%だった50億円未満の企業の割合が50%に高まっている。
IPO市場が低迷するのはなぜか。新規企業の大半が上場する東証グロース市場の停滞があげられる。24年9月末までの1年間で、日経平均株価は2割ほど上昇したが、東証グロース市場250指数(旧東証マザーズ指数)は逆に1割ほど低下。内外の投資家の関心が大型株中心の東証プライム市場に偏っていたためである。