著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

日本陸軍が和平工作を行った宋子良は中国の謀略による偽物

公開日: 更新日:
影佐禎昭は元陸軍中将。谷垣禎一・元自由民主党総裁の祖父にあたる(1947〈昭和22〉年5月22日撮影)/(C)共同通信社

 なぜ桐工作というのかは不明であったが、日本の特務機関は猫、牛といった1文字を謀略作戦に名付けている。大方この作戦も「桐」という1文字で表すことにしたのであろう。日本軍の情報将校である今井武夫や影佐機関の影佐禎昭らの元にある人物が近づいてきた。

 その人物は宋子良と名乗った…

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