衆院補選「島根1区」現地ルポ 記者が身をもって感じた60年超に及ぶ鉄壁の保守地盤
「裏金問題だ、細田さんのスキャンダルだとメディアが好き勝手言ってるけど、俺は変わらず自民に投票するよ。裏金が500万円でも、5年で割れば1年でたったの100万円。大した額ではないし、民主党政権の暗い時代には戻りたくない」
しばらくすると、錦織候補を乗せた選挙カーが到着。聴衆の拍手で迎えられ、先ほどまでの静けさが嘘のような盛り上がりだ。15分ほど演説した錦織候補を拍手で見送ると、作業服姿のおとなしそうな高齢男性が記者に話しかけてきた。
「島根は建設業者と自民党の関係で成り立っている。自民党でなければ島根は崩壊します。裏金問題も、錦織さんは新人で全く関係ない。自民党を良くするためにも、若い人を送り込みたいんです。どうか記者さん、良く書いてくださいね」
情勢は、立憲民主党の亀井亜紀子候補リードと伝わるが、亀井陣営の幹部はこう話す。
「追い風が吹いているとはいえ、自民の岩盤支持層はこんな程度じゃ揺るがない。何十年間も築き上げてきた組織力があり、人員の数もウチとは桁違い。本気を出されたら、ひとたまりもない」
最後まで気が抜けそうにない。
(取材・文=橋本悠太/日刊ゲンダイ)