ミャンマー東部の特殊詐欺拠点で日本人の「かけ子」とリクルーターが重宝される特殊事情
「組織のことを当局に話したら報復する」
中国系人身売買組織のリクルーター役だった日本人の男は、国内から呼び寄せた男子高校生を脅して「かけ子」をさせ、口止め工作までしていた。
タイ当局は13日、オンラインゲームで知り合った宮城県の17歳の高校生をミャンマーに連れ去り、特殊詐欺に加担させた疑いがあるとして、藤沼登夢容疑者(29)の身柄を首都バンコクの空港で拘束した。藤沼容疑者は中国系人身売買組織の幹部とみられている。
「衣食住の面倒を見るからこっちに来れば」
バトルゲームをするうちに高校生と打ち解けた藤沼容疑者は本人から家庭の悩みを聞き出し、「向こうへ行くと良い仕事があるよ」と家出を持ち掛け、成田空港からタイまでの航空券を用意。高校生は1月上旬、家族に行き先を告げずに藤沼容疑者が手配した航空券でタイに渡った。同じ頃、タイ入りした藤沼容疑者と現地で合流後、高校生は車に乗せられ、陸路でミャンマーに連れて行かれた。
「高校生は特殊詐欺の拠点となっていたホテルの従業員寮に監禁された。そこで与えられた名簿をもとに高齢者が多い県をターゲットにして約1週間、かけ子をさせられた。家族から行方不明届を受理した宮城県警が捜査を始め、タイに出国していたことが判明。日本側がタイ政府に伝え、タイがミャンマー政府にはたらきかけた結果、1月17日に解放され、大使館に保護された。高校生の指示役は日本人で、常にマシンガンで武装した監視役に見張られ、日本人の男女12人が同じように特殊詐欺を強要されていたそうです」(捜査事情通)