本田圭佑「虚像と実像」(6)中1の少年を襲ったクラムジー

公開日: 更新日:

「何でやろ?思うように動けへん」

 ガンバ大阪ジュニアユースのコーチ陣から「走らんかい!」といくら怒鳴られても、かたくなにパスの供給役に徹した。

 中学1年の後半になると、その傾向はより顕著になった。ピッチを縦横無尽に走り回る選手が評価され、いつまでも「動こうとしない」本田はベンチに追いやられる。苦虫を噛み潰したような表情で仲間のはつらつとしたプレーを見る日々が続いた。

 その頃だった。体が重く、何とも言えない倦怠(けんたい)感が襲い始めた。日常生活でも体が言うことを聞かない。試合に出ても、当たり前のようにできていたプレーすらできない。体に染み付いたワザも使えず、ボールもうまくさばけない――。

「何でやろ? 思うように動けへん」

 原因は「クラムジー(Clumsy)」だった。急激に成長することによって、体と精神のバランスが崩れ、これまで会得した技術ができなくなること。成長痛によって膝、足首などが痛み、満足にプレーできないことで「オレは何をやってもダメ」と精神的スランプに陥る事例も少なくない。このクラムジーに悩まされたのだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる