急ピッチのマー君とは好対照…復帰遅れるダルの「計算」
ダルビッシュ(28)の復帰が遅々として進まない。
右肘の炎症は「登板をずらせば投げられる」くらいの症状。当初は復帰可能な25日にも戦列に戻る予定だったものの、調整はちっとも前に進まない。レンジャーズのワシントン監督は「25日はメドにしない。(復帰時期は)どうなるのか分からない」と言い出した。ダルは予定されていたマイアミ遠征に同行せず、本拠地アーリントンで治療を続けている。
レンジャーズは目下メジャー最低勝率。球団も来季に向けたチームづくりに着手していて、エースが無理をする必要がない状況ではある。
しかし、ダルの復帰が遅れている理由は、それだけではない。テキサスの地元紙記者は「おそらくタナカへの対抗心もある」という。
ダルにとって、田中将大(25)はかつての弟分だった。しかし、年を追うごとに田中が成長。やがてダルは田中に、ライバル心を抱くようになった。
メジャー2年目の昨季、ダルはリーグで最も優れた投手に贈られるサイ・ヤング賞投票で2位に入った。ダルにしてみればいつでも手が届くタイトルではある。だが、今季からライバルの田中が加入。開幕からダルを上回る成績を残し、いきなりタイトルを総ナメしてもおかしくないスタートを切った。そうなると田中と勝負してタイトルを取らなきゃ意味がない。田中が右肘靱帯部分断裂で戦列を離れている今、復帰を急いでタイトルを獲得したところで、価値は半減する。田中が長期にわたって離脱した以上、お互い万全な状態で迎えるだろう来季、改めて勝負したい。ダルはそんなふうに計算しているのではないか。