<第10回>「デートの時滑れた方がいい」…きっかけは母の軽いノリ
私が初めてスケート靴を履いたのは5歳でした。
愛知県豊橋市で父(和則さん=67)と共に割烹店(和乃家)を営む母(ケイ子さん=64)は幼少期から私にいろいろな習い事をさせてくれました。
「子供の頃に何か自分の好きなものを見つけて欲しい。ひとつに長けてなくても、いろいろなことができる女の子になってくれればいい」
母の強い思いもあって、私は水泳、書道、絵画、ピアノ、バレエに通っていました。1週間のほとんどが習い事。今考えればやり過ぎかもしれません(笑い)。何もなかったのは日曜日だけ。母はそれも無駄にはしませんでした。
たまたま私のいとこが日曜日に地元のリンクで行われていたスケート教室に通うことを知ると、母は「それならアッコも」と私の手を取った。これが私のスケート人生の始まりです。
当時、私はスケートはおろか、フィギュアにもそれほど興味はありませんでした。母も「大きくなってデートでスケートに行った時、滑れたほうがいい」という軽いノリでした。私も母もそんな気持ちですから、6歳になって本格的にフィギュアを始めても、将来オリンピックを目指すとは夢にも思っていませんでした。