<第7回>完璧なフリー演技の直後、真央が泣きながら私に言った
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
ソチのフリーが終わった舞台袖でのこと。
試合を終えた私が(浅田)真央、(村上)佳菜子と顔を合わせると、今までのさまざまな思いが込み上げ、思わず3人で号泣してしまいました。
私は自分の出番の関係上、真央のフリー演技を直接見ることは出来ませんでした。でも、先生(長久保コーチ)から16位という信じられない結果に終わったSP(ショートプログラム)とは違い、ほぼ完璧な演技でフリーを終えたと聞いていたので、本人には「よかったね。最高の演技だったんだってね」と伝えたのです。
すると、真央は泣きながら私の問いかけに小さな声でこう言ってくれました。
「アッコちゃんこそ……、凄いよ。アルメニアで足が痛くて泣きながら練習していたのを見てたから……。その足でここまで来たのだから……」
私が両足の「うおのめ」の炎症による痛みで泣いてばかりいた直前合宿。同じリンクで練習していた真央は、自分のこと以上に私のことを陰ながら心配してくれていたのです。