<第10回>「デートの時滑れた方がいい」…きっかけは母の軽いノリ
【連載】 鈴木明子 スケート人生「キス&クライ」
大ちゃん(高橋大輔)や(村上)佳菜子の励ましもあり、私はソチ五輪閉会式直前に、日本で行われる世界選手権(14年3月、さいたまスーパーアリーナ)に出場することを決めました。
大会までに残された時間は約1カ月。両足を万全の状態に回復させるにはギリギリの時間でした。それでも、「どんな形でもいい。これまでのスケート人生を支えてくださった関係者やファンの方々に現役最後の姿を見せたい」。ソチから帰国する頃にはそんな思いが強くなっていました。
日本に帰国後は1週間の安静。しっかり静養してから、病院での治療、練習を再開し、周囲の方々のサポートもあって、何とか世界選手権の舞台に間に合うことができたのです。
最終的に私の現役生活最後の試合、世界選手権の結果は6位でした。本来ならこの成績に満足することはありません。でも、現役最後の大会を日本の皆さんに温かく見守っていただけたこと、そして自分自身の足の状態を考えれば悔いはありませんでした。