日本男子体操「伝説の補欠」が語る五輪演技“幽体離脱”体験

公開日: 更新日:

――代表選手が故障でもしない限り出番がないのなら、現地でも気楽だったのではないですか。

「選手村はゴルフ場を壊して造ったと聞きました。敷地の中にはプールやサウナ、カフェテリアなどの売店があり、IDカードがあれば施設使用や飲食はすべて無料。当時の日本選手は世界のトップですから調整も万全。ケガや病気になることなんて考えられませんから、選手村の中を毎日見て回っていました」

――その考えられないことが起こったわけですね。

「本番の5日前に故遠藤(幸雄)コーチに部屋に呼ばれ、笠松が盲腸手術することになったから、代わりに出てくれと。え!? 嘘だろと。その瞬間、突然体がこわばり、視野が狭くなった。目の前の一点しか見えなくなった」

――でしょうね。

「頭の中がガラリと変わり、五輪の舞台に立てる喜びより、怖さの方が大きかった。日本に帰りたくなりましたね」

――何に対して怖かったのですか。


「日本は金メダルが狙えるだけのメンバーが揃っている。五輪団体5連覇もかかっている。補欠の私が笠松さんの代わりに出場し、もしも失敗して金メダルを逃せば、私は日本中から批判されるでしょうし、孫の代まで言われます」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末