佐ノ山親方「九重」継承 年寄株はどうやって手に入れた?
師匠の急逝により、3日付で年寄名跡「九重」を継いだ、元大関千代大海の佐ノ山親方(40)。今後は「九重親方」として部屋を継承し、後進の指導を行うことになる。
そこで気になるのが、年寄株をどうやって手に入れたのか、だ。かつては個人の財産として億単位で売買されていたが、相撲協会が公益財団法人に移行した14年からは制度が変更された。
現在、一代年寄を除く名跡は105ある。その全ての証書は相撲協会が管理している。襲名の際は親方衆で構成される年寄名跡資格審査委員会を開き、そこで審議されるという。年寄株保有者が後継者を指名した場合も、委員会での審議が必要になる。現九重親方も正式な手続きを踏んで継承したことになるのだが、襲名に一銭もかからないわけではない。
ある相撲記者がこう言う。
「96年に当時の境川理事長(元横綱佐田の山)が『年寄株の協会管理、売買禁止』を打ち出したものの、親方衆の猛反発に遭い、理事長の座から引きずり降ろされた。なにせ、億単位の借金をしてまで株を買った者もいますからね。『売れなきゃ借金を返せない。もう首を吊るしかない』と話した親方も1人や2人じゃなかった。公益法人移行の際も、『売買禁止なんてふざけている。表向きはそういうことにして、裏では今まで通り売買しようじゃないか』と、臆面もなく言い放った親方すらいます」