野菜嫌いを克服 レスリングフリー57kg級・樋口が銀奪取
日本伝統の軽量級で表彰台に立った樋口は、早くから将来を嘱望されていた。小学校の6年間で全国優勝すること5度。地元の大阪・茨木市を離れてレスリング留学した茨城の強豪校・霞ケ浦高では、国内の高校タイトル6冠の偉業を達成した。
今年3月のアジア予選を制して五輪初出場を決めた軽量級のホープにもしかし、決定的な問題があった。もともと「野菜はほとんど食べない」という偏食家で、そのうえ大の甘党。減量が苦手で大会のたびに苦しんだ。昨年の全日本選手権でも減量に失敗。計量失格という醜態をさらした。これで目が覚め、大学で栄養学を専攻するなど「野菜も20%くらいは食べるようになりました」と言うものの、五輪出場を懸けたカザフスタンでのアジア予選でも開幕4日前の時点で2.5キロオーバー。日本勢で1人だけ、1日早く現地入りして汗を絞り出すなど、関係者をヒヤヒヤさせた。
表彰式後、ようやく取材に応じた樋口は、「1番になるには何が足りないのか。見つめ直して練習します」と言った。悔しい銀メダルは4年後の東京に向け大きな糧になりそうだ。