「平野に準備させてます」と言うと小久保監督がうなずいた
2次ラウンドのオランダ戦だった。6-5で迎えた五回から登板した3番手の千賀(24=ソフトバンク)がベンチに戻ってくるなり、「もうダメです。無理です。勘弁してください」と言った。
代わりっぱなに連打で無死二、三塁の大ピンチを招きながら、オランダの3番、4番を連続三振に切って取るなど無失点。六回のマウンドも任せようと「次も行くぞ!」と声をかけると、首を大きく横に振るのだ。
「おまえが行かないで誰が行くんだ!」
そう尻を叩いても、
「無理ですよー」
と言って聞かない。
ここが勝負どころと見た私は、
「ダメだったらすぐに代えてやる。おまえの球なら大丈夫だ」
と、半ば無理やりに続投させた。
結果は連続無失点と期待通りだったが、ソフトバンクでは先発もこなす千賀が、たった1イニングで音を上げる。国を代表して戦う国際試合、選手が感じる重圧は想像以上のものがあった。