稀勢の里が稽古再開も…気がかりな“先輩横綱”との類似点
それでも不安がつきまとう。
14日に初日を迎える5月場所に向け、6日、先場所以降初めて関取衆と相撲を取る本格的な稽古を再開した横綱稀勢の里(30)。3日の稽古総見は調整を優先して休んだものの、田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)が協会に連絡を入れるのを忘れたため、「無断欠席」扱いされるハプニングもあった。
稀勢の里は先場所、日馬富士に敗れた際に左上腕筋と大胸筋を損傷するケガを負った。本人は「回復具合は順調」としか言わないが、角界の中には「5月場所は休場した方がいいのでは」という声が少なくない。
相撲評論家の中澤潔氏は「筋肉のケガというと、横綱の栃ノ海を思い出す」と、こう言う。
「1964年に昇進した栃ノ海はケガに泣かされ続けた。横綱としての優勝はたったの1回。最後は右腕上腕筋を断裂したことが引き金となり、引退した」
稀勢の里は筋損傷。断裂ほど重傷ではないが、得意の左差しに影響が出るのは必至だ。
「ケガを完治させたところで、負傷箇所を強化しなければ弱点になってしまう。相撲において相手の弱みを攻めることは悪いことではない。稀勢の里の今後は、左腕と左胸の筋肉をどこまで鍛えられるかにかかっていますが、5月場所までにそれが間に合うかどうか……」(前出の中澤氏)