平昌の熱狂で加速 東京五輪「メダル量産」ムードへの不安
スポーツ科学・医学・情報の分野からアスリートの支援を行っている国立スポーツ科学センター(オープン01年)の建設には274億円以上が投入され、トップアスリートの育成、強化がメインのナショナルトレーニングセンター(以下トレセン=同08年)の建設にも約370億円かかった。現在はトレセンの隣に「第2トレセン」も建設中だ。これらの運営にも莫大なカネが使われている。
近年は、財政不安や五輪後の施設の活用、運営費の問題などで、五輪開催地の立候補をやめる都市が多い。特に、競技人口の少ない種目が並ぶ冬季五輪は、複数国での共催は時間の問題とさえいわれている。18年平昌―20年東京―22年北京と、開催地が3大会連続で東アジアになるという異常事態の背景にはそういう事情がある。
ところがだ、借金大国の日本国民はオリンピックが大好きで、「五輪行政」に関してはすこぶる甘い。
15年にはスポーツ庁が創設され、今は国が率先して選手強化に力を入れている。東京五輪のメダルラッシュを課せられた各競技団体は「日の丸」をバックにつけ、湯水のようにカネを使い、さらなる選手強化に突き進むことになるだろう。