小倉清一郎氏が解説 2度目の春夏連覇を狙う大阪桐蔭の死角
言わずと知れたドラフト候補7人を擁するスター軍団だ。1位候補はエースと中軸を兼ねる「二刀流」の根尾、安打製造機の藤原。さらに投手陣は背番号1の柿木、大型左腕の横川らタレントは豊富である。
「ただし、失点が気になります。甲子園では根尾と柿木が交互に投げるかもしれませんが、センバツ決勝など大事な試合は必ず根尾が先発している。そんな根尾も絶対的な投手ではない。(北大阪大会準決勝で)履正社に4点取られましたから。5、6点の打ち合いになると他校は分が悪い。勝つなら2、3点勝負に持ち込みたい。履正社が大阪桐蔭に九回2死までリードした戦い方がヒントになる。それまで隠していた投手が先発し、六回まで3安打無失点。奇襲がはまった。大阪桐蔭に勝たない限り、甲子園へは行けない履正社の岡田監督は、周到に準備をしていた。各校は参考にするべきです。たとえ強豪校だろうが、今回は大阪桐蔭の方が格上。普通にやっていては勝ち目は少ないのです」
奇襲といえば、思い出す試合があるという。
「93年のセンバツで横浜は初戦で上宮と当たった。横浜は東の横綱。予選でコールド負けを喫した上宮の評価はあまり高くなかった。すると上宮の田中監督(現近大監督)は、背番号9の左投手を奇襲先発させてきた。予想外の投手起用に出はなをくじかれた横浜は、まんまと抑えられ、延長戦で敗れた。上宮はそのままの勢いで優勝。もちろん、ある程度の投手が何人もいないとできない作戦ですが、大本命とやる時は効果があります」