甲子園を戦う北海道や東北の高校に記録的酷暑はハンディか
優勝旗は白河の関を越えられるか。
記録的な猛暑が続いている今年の夏。熱中症による死者も1週間で65人を数えたほどだ。こうなると、暑さに不慣れな東北や北海道の学校は不利――と思いがちだが、果たして本当にそうなのか。
過去15年の夏の甲子園を見ると、実に9年で関東以北の高校が決勝に進出している。駒大苫小牧は北海道勢として初めて2004年の夏を制すると、05年も連覇し、06年は準優勝。北海道では16年にも北海が決勝戦に駒を進めている。新潟も09年に日本文理が、青森は11、12年に光星学院、宮城は15年の仙台育英が、最後の2校に残っている。
スポーツライターの美山和也氏が言う。
「24日に中学硬式野球のポニーリーグの全国大会決勝戦があり、北海道と沖縄のチームが戦った。試合会場は炎天下の東京・江戸川区。それでも勝ったのは北海道のチームでした。今は野球における南北差はないでしょう。北国でも中学、高校ともに強豪チームは冬場に遠征で練習試合をこなす。設備も昔に比べれば整っていますし、知恵と工夫もある。東北のある中学の硬式クラブは、冬場の室内練習場で短い距離のゆるいノックを行い、正しい姿勢で捕球させていた。中学時代から徹底的に基礎を固めることは、高校でも必ずプラスになる。そうした底上げが、雪国の高校野球にも影響しています」
強豪校は大阪などからの越境入学者も多く、彼らにとって暑さはハンディにならない。北国だからと先入観だけで考えると、痛い目を見ることになりそうだ。