著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

ワイドショーに閉口…金足農・吉田輝星“礼賛”一色の危うさ

公開日: 更新日:

 今夏の甲子園を沸かせた金足農業高(秋田)のエース・吉田輝星投手についての礼賛報道が過熱の一途をたどっている。

 確かに、同大会は日本人が古くから高校野球に求めてきた類型的なドラマツルギーを見事に表していた。地方の清貧な雑草軍団が都市部のエリート軍団に立ち向かう少年漫画的な構図。その雑草軍団を牽引する弱冠17歳の逸材が郷土の夢まで背負わされて奮闘する様子。さらにその逸材は炎暑の中、1人で計881球も投げるなど将来的な投手生命の危機をはらませつつ、一部からの制止の声を振り切って巨大戦力に猛進し、最後は玉砕する。言葉は悪いが、玉砕に美を感じる日本人の性を見せつけられた。

 だからこそ、リテラシーの高まった現代社会では懐疑的な声も少なくない。もちろん、地上波テレビの多くは相変わらず感動ポルノ一色の礼賛報道に終始しているが、世は多様メディアの時代であるから、一部の雑誌やネット媒体では「投手の酷使」「熱中症の危険」「過密な大会日程」など、高校野球につきまとう恒常的な問題についての批判が巻き起こっている。要するに、高校野球は玉砕覚悟の残酷ショーだから輝きを放つのだと理解しつつも、その大衆心理は無責任だと切り捨て、選手ファーストに則った改革を求めているわけだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  2. 2

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  5. 5

    佐々木朗希が患う「インピンジメント症候群」とは? 専門家は手術の可能性にまで言及

  1. 6

    巨人「松井秀喜の後継者+左キラー」↔ソフトB「二軍の帝王」…電撃トレードで得したのはどっち?

  2. 7

    巨人のW懸案「ポスト岡本和真&坂本勇人」を一気に解決する2つの原石 ともにパワーは超メジャー級

  3. 8

    ドジャース大谷翔平 驚異の「死球ゼロ」に3つの理由…12本塁打以上でただひとり

  4. 9

    佐々木朗希「限界説」早くも浮上…案の定離脱、解説者まで《中5日では投げさせられない》と辛辣

  5. 10

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ