横綱白鵬に帰化を決意させた朝青龍とのギスギスした因縁
複雑な関係ではある。朝青龍は白鵬がデビューした当初こそ可愛がっていたものの、出世するにつれて不仲に。素行不良で「悪」だった自分に対し、当時はまだ謙虚に振る舞っていた白鵬が「善」と持ち上げられたことも面白くなかっただろう。さらに、自身の25回優勝もあっさりと塗り替えられてしまった(白鵬は42回)。
白鵬も白鵬で、「強いモンゴル人力士」の先駆者である朝青龍には対抗意識が強い。かつて朝青龍を抜く26回目の優勝を果たしたときは、「あの男を超えられてよかった。もう(朝青龍も)文句言わないだろう」と、呵々大笑していたほどだ。
引退後もそんな朝青龍の上を行くためには、モンゴルではなく日本で立身出世を目指すしかない。
実現するかどうかはともかく、野望は相撲協会の理事長だともっぱらだ。モンゴル相撲の横綱で、メキシコ五輪レスリング銀メダルという母国の英雄を父に持ちながら、日本に帰化するのは「あの男」への対抗心もあるという。