著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

「沢村さんの名前に傷をつける」とは2人に失礼すぎないか

公開日: 更新日:

 今季の沢村賞は「該当者なし」となった。有力候補としては、ともに15勝を挙げて最多勝のタイトルを獲得した巨人山口俊日本ハム有原航平が取り沙汰されていたが、2人とも完投数の不足(山口0、有原1)が大きく響いたようだ。

 ご存じ、沢村賞の選考基準は「登板数25以上、10完投以上、15勝以上、勝率6割以上、200投球回以上、150奪三振以上、防御率2・50以下」の7項目で、山口と有原はともに4項目をクリアしている。過去には4項目で受賞したケースもあるのだが、選考委員会の堀内恒夫委員長は2人の受賞を見送った経緯について「これ以上、賞のレベルを下げたくない」「完投なしでいいよとなると、沢村さんの名前に傷をつける」と説明した。

 個人的にはずいぶん山口と有原に失礼な物言いだな、と感じた。「沢村さんの名前にふさわしくない」ではなく「傷をつける」である。時代とともにプロ野球の在り方も変化し、現代は構造的な事情として完投が少なくなったわけで、決して山口と有原の不甲斐なさが原因ではない。そんな現代プロ野球に適合して、好成績を残した2人が沢村栄治の名前に傷をつけると言うなら、それはプロ野球の進歩に水を差しているのと同じだろう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」