バレンティンFA見送りの思惑…残留でも移籍でもオイシイ?
FA市場に出回ることはなかった。1日、FA権行使の申請期間が終了。国内FA権を取得したヤクルトのバレンティン(35)は申請しなかった。来季から外国人枠を外れることで、巨人やソフトバンクによる争奪戦が予想されていた。
今後はヤクルトとの残留交渉が行われ、決裂すれば12月の自由契約公示後に他球団との交渉が可能になる。FA宣言すれば、今月3日から交渉を始められたが、申請しなかったのはなぜか。
ひとつはカネの問題だ。FA宣言した選手の翌シーズンの年俸は「現状維持」が上限(減額は無制限)。バレンティンの場合、4億4100万円となる。一方、自由契約となれば「青天井」での交渉が可能。NPBによれば、「自由契約のほうがFAより自由度の高い移籍が可能になる」という。
しかし、この制度には“抜け穴”もある。1年目の年俸上限は過度なマネーゲームを避ける目的で制定されたものだが、出来高や2年目以降の年俸には制約がない。しかも、「球団が当該選手の前参稼報酬年額及び稼働成績に関する特別な事情をコミッショナーに文書で申請し、コミッショナーがこれを認めた場合は、本条の制限を超える参稼報酬年額で選手契約を締結することができる」(フリーエージェント規約第7条)。2016年オフにDeNAから巨人に移籍した山口俊は、これで前年度の3倍近い2億3000万円の年俸を手にした。
残留か移籍か。どちらに転んでも、交渉のテーブルにつく球団にとってはタフな金額交渉が待っている。