著者のコラム一覧
六川亨サッカージャーナリスト

1957年、東京都板橋区出まれ。法政大卒。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年にサカダイを離れ、CALCIO2002の編集長を兼務しながら浦和レッズマガジンなど数誌を創刊。W杯、EURO、南米選手権、五輪などを精力的に取材。10年3月にフリーのサッカージャーナリストに。携帯サイト「超ワールドサッカー」でメルマガやコラムを長年執筆。主な著書に「Jリーグ・レジェンド」シリーズ、「Jリーグ・スーパーゴールズ」、「サッカー戦術ルネッサンス」、「ストライカー特別講座」(東邦出版)など。

仮設だらけだった天皇杯決勝 新国立競技場で感じた“無力”

公開日: 更新日:

 天皇杯サッカー(第99回全日本サッカー選手権)の決勝戦が、6年ぶりに<国立競技場>に戻ってきた。もちろん会場は<新国立>である。

 令和2年1月1日。恒例の元旦決戦となった神戸ー鹿島戦は、オンライン事業を幅広く展開する楽天(神戸)とフリマアプリの大手メルカリ(鹿島)との対戦でもあった。

 Jが発足する前の天皇杯のタイトルは東洋工業(広島)、ヤンマー(C大阪)、三菱重工(浦和)、日立製作所(柏)、ヤマハ発動機(磐田)、日産自動車横浜M)、松下電器(G大阪)など日本の重厚長大系の基幹産業が争ってきた。時代が令和に変わり、Jリーグの経済的な勢力図にも変化が起きようとしているのかも知れない。

 変化といえば……かつての<旧国立>と言えば、明治神宮で初詣を済ませた羽織、袴姿のファンも目に付いた。ところが6年ぶりの新国立には、普段着姿のファンが多かった。「昭和は遠くに去りにけり」と言ったところだろう。

 さて元旦の旧国立というのは、取材記者やカメラマンにとって、普段はカジュアル(みすぼらしい?)な恰好をしていても、やはり新年なのであらたまった気持ちになり、滅多に着ないジャケット、スラックス姿で出向いて<年始回り>を済ませる場でもあった。 

 筆者がサッカー専門誌の記者だった昭和の時代は、旧国立のメインスタンド下にあったミックスゾーン、トラックなどで顔なじみの記者やカメラマン、さらには日本サッカー協会の職員といった旧知の面々とすれ違うたびに新年の挨拶を交わしたものである。

 新国立での決勝は、神戸がFW藤本憲明の2ゴールに絡む活躍で初のタイトルを獲得した。鹿島は2トップの伊藤翔とセルジーニョが押さえ込まれ、決定機は後半12分の一回だけ。MFレオ・シルバは、神戸MFイニエスタから何度かボールを奪取するなど孤軍奮闘したが、チームを勝利に導くことはできなかった。

 FWポドルスキーを筆頭にイニエスタ、FWビジャら大型補強をした神戸の先行投資が報われ、今後はJの他クラブの指針になることを期待したい。鹿島については、シーズン中にMF安部裕葵やFW鈴木優磨など主力選手を失いながらも決勝に進出したことに伝統の底力、重みを感じないではいられなかった。2日には、元柏で活躍したブラジル代表DFザーゴの新監督就任を発表、新外国人助っ人の補強にも抜かりはない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」