著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

トップ自ら謝罪 アストロズオーナーが示した危機管理能力

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 これに対し、たとえ緊張した面持ちで手元の資料を確認しながらであっても、球団経営の最高責任者であるクレインが機構による処罰の受け入れを表明し、関係各所への謝罪と関係者の処分を明言すればどうなるか。

 クレイン自身が処分を免れたことに批判が寄せられたとしても、「球団として意思決定したものだから」とこれ以上の措置を取る余地はないという世論を形成することに役立つ。

 こうした手法は、毎日内政や外交の問題についてツイッターに自らの意見を投稿する米国大統領ドナルド・トランプにも通じる。政治家や評論家から「大統領としての品位を欠く」、あるいは「相手国との対立を深める」などと非難されてもトランプがツイッターでの発言をやめないのは、米国の最高権力者が発言することで、例えば外交問題の交渉相手に「米国は容易に妥協しない」と思わせ、妥協させる可能性を高めるのだ。

 貿易問題で対立する中国がしばしば米国に譲歩するかのような態度を示すのも、相手に交渉の余地に限りがあると思わせるトランプ流の手法が奏功している証拠と言えよう。

 その意味で、ともに実業家として名を馳せたクレインとトランプは、実践で鍛えた交渉術を、それぞれの立場で存分に発揮しているのだ。

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