“女子プロレスの求道者”里村明衣子が語るWWE参戦への思い
およそ8年ぶりに凱旋したマー君こと楽天の田中将大(32)とすれ違うようにして、東北を巣立った女性アスリートがいた。女子プロレス団体「センダイガールズプロレスリング」(仙女)の代表で、日本のトップ女子プロレスラーである里村明衣子(41)だ。
1995年に元クラッシュ・ギャルズの長与千種さん(56)が興した「GAEA JAPAN」で、史上最年少(当時)の15歳でデビューした里村は、同団体解散後の2005年に、新崎人生(54)が発足した仙女で看板ファイターとしてけん引。すでに東北地方で圧倒的な知名度を誇っていた「みちのくプロレス」の背中を追い、女子プロがプロ野球やサッカー、バスケットボールと肩を並べる地域密着型のプロスポーツになるべく奮闘した。
そんな矢先の2011年3月11日、東日本大震災が起こった。
■現実を受け止められなかった
「あの時は、仙台駅前にある商店街の中のスポーツジムにいました。慌てて商店街に出たら、お店の窓が割れてて、中から血だらけの人が出てきました。町の信号は全部消えていて、いつもなら車で5分で事務所まで帰れるところが、2時間もかかった。車のナビでテレビを見たら、NHKで津波が映っていて、いつも泳ぎに行っていた海水浴場に300体の遺体があがっていると……怖さのあまり、現実を受け止められませんでした」と里村。