政界と球界における ガラスの天井を破った女性の立ち位置
礼を尽くして招聘した人物であっても実績が伴わなければ半年で地位を失うのが大リーグだ。そのような中で、シカゴ大学を卒業して90年にホワイトソックスに採用されて以降、一貫して球界で経験を積んできたという一点だけでも、アンの能力の高さが分かる。
しかも、アンをヤンキースに招いたのが、前任のGM補佐であり、30歳という当時史上2番目の若さでGMとなったブライアン・キャッシュマンであった。「30歳のGMに29歳のGM補佐」という取り合わせは、アンに対する周囲の期待がどれだけ強かったかを示している。
このように見れば、「米国史上初の女性副大統領」となったハリスと「北米プロスポーツ史上初の女性ゼネラルマネジャー」のアンとは、あたかも「ガラスの天井」を壊す象徴かのようである。
だが、安定感はあっても大衆的な支持に乏しいバイデンが、急進的な政策によって支持を集めるハリスの人気を取り込む目的で副大統領の人選を行った点には注意が必要だ。
もちろん、マーリンズも「女性GM誕生」という話題によって人々の注目を集めるという意図がなかったわけではない。