今年のセンバツに夏まで追い掛けたい野手はいなかった

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 センバツはホント、まいったよ。

 朝はホテルのモーニングで、昼と夜はコンビニ弁当。キャンプと違って外食を禁じられてるわけじゃなかったから、若いのを誘ってちょっと一杯なんて思ったら、「スミマセン、コロナが怖いんで」だもんな。

 試合中も周りはトイレ以外、ほとんど席を立とうとしない。メシだって、買ってきた弁当をスカウトの席で食べてるんだから。トイレのフリして、たばこを吸いに行くのもためらわれたくらいさ。

 そうやって例年以上にグラウンドに目を光らせたつもりでも、ハッキリ言って、これはという野手はいなかった。

 担当スカウトは事前に智弁学園(奈良)の前川右京(外野手)や常総学院(茨城)の田辺広大(捕手)あたりをリストに入れてたけど、彼らも含めて売り物の打撃がパッとしない。打撃が良ければ、足や肩はどうか、夏まで追い掛けてみようとなるが、そこまでいかないんだ。

 ヒットを打ったから、いい選手ということにはならない。オレたちが見るのは結果じゃない。野手なら打席でのタイミングの取り方、スイングスピード、ボールの見極め、バットの軌道なんかを主にチェックするものの、変化球に対して体が前に突っ込んだりする選手がほとんどだった。

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