有原航平よ、4万人の荒くれに囲まれてもチビるなよ
メジャーリーグのテキサス・レンジャーズが先週、観客の入場制限を取っ払った。共和党の州知事がマスク着用義務を撤廃して経済活動を優先すると宣言したので、右に倣って、いきなり4万人の観衆が押し寄せたそうだ。
オイオイ大丈夫かよ、4万人だぜ4万人!
「どうだ、これがアメリカだ。自分の命は自分で守るんだ。ワッハッハ!」
とマスクをかなぐり捨てて高笑いする太鼓腹で鼻の赤い西部の牧場主みてえな球団オーナーの姿を想像しちまう。ちょっと前までは客席にゃ客の写真のカキワリに混じって、よく見ると動いてるんで、あ~ホンモノの人間がいるんだなあ、と思ってたメジャーリーグの球場を、いきなり4万人、立錐の余地もない、ギッシリと生きた人間で埋めるって、そらまたどういう了見だい?
おまえたちにゃ○か×しかないんか? 中間というもんがないんか?
オレらは、アメリカ人のそういう大ざっぱなところが理解できんのだよ。「大丈夫かな? これでモンダイないかな?」と、様子を見て、もう大丈夫だろ、と空襲警報解除のサイレンを聞いてからおそるおそる防空壕から這い出して、そろそろと日常を取り戻すんだ。よく言えば優柔不断。何の列か分からなくても列があればとりあえず並ぶ。