高安に脱皮の好機! 兄弟子・荒磯親方からの「卒業」と「創意工夫」で大関復帰
今こそ巣立ちの時だ。
かつて和製大関として期待された高安(31)。兄弟子の横綱・稀勢の里(現荒磯親方)と二人三脚で稽古に励んできたが、左ヒジのケガと腰痛で2019年に大関から陥落。9月場所は小結として土俵に上がる。
そんな高安にとって、最大の転機が荒磯親方の独立だ。田子ノ浦部屋で後輩を指導をしていた兄弟子が故郷の茨城県で8月1日に部屋開き。これまでのように胸を借りることもできなくなった。
しかし、考えようによっては高安が脱皮するチャンスでもある。
「稀勢の里は不運なケガで横綱としては活躍できなかったものの、その強さは今の力士とは別格。白鵬に迫れた最後の力士と言ってもいい。それだけに高安も『この兄弟子とだけ稽古をしていればいい』という甘えにつながったのではないか」とはある親方だ。
かつて千代の富士が北勝海(現八角理事長)を鍛えに鍛えぬいて横綱に引っ張り上げたこともあったが……。
「千代の富士さんは何でもできた力士。左四つ一辺倒の稀勢の里とは違う。そもそも高安も同じ左四つなので相四つ。立ち合いからがっぷり組み合えるので、組ませてもらえない相手への対処などは学べない。稀勢の里と毎日稽古をすれば横綱の圧力を肌で体感できるし、スタミナもつくだろうけど、それ以上のものは得られない。さらに2人とも巨漢で腰高の力士なので、低い体勢で稽古をする必要がなく、欠点が直らないままだったとの見方もできる」(前出の親方)