代走の切り札・植田海 高校の恩師は「最初のノック1球でレギュラー決定」
「入部して3週間ほどは練習に参加させず、『座って見とけ』と、ひたすら見学させていました。部の雰囲気を覚えてもらう目的もありますが、どんな子なのか分かりませんでしたからね。すると、何時間過ぎても、何日経っても、背筋をキチーッと伸ばした姿勢を崩さない。目はしっかり球の行方を追いかけているんです。この子はちゃんとしているなと分かり、いざ練習に参加させた時です。最初のノック1球で、レギュラーにすることを決めました。打球に向かうダッシュ力に圧倒され、こんなにスゴイ選手だったのかと驚きました」
■「モテるのに一切自慢せず」
脚力は学校内で群を抜いていた。近江高は陸上部の強豪としても知られるが、体育祭のクラブ対抗リレーでは陸上部に大差を付けて野球部が優勝を飾ったという。そこでアンカーを走ったのが植田だった。3年時に担任だった体育教員の生駒有史さんが言う。
「走りっぷりは別格でした。かといって目立とうとするタイプではなく、真面目で努力家です。モテていたか? 硬派なのでそれは……。武田部長の方がよく知っているはずですよ(笑い)」