高梨沙羅を追い詰めたJOCの悪しき「事なかれ主義」…傷心癒えず、W杯再開初戦を欠場
24日、全日本スキー連盟はスキージャンプの高梨沙羅(25)について、今後の試合出場の予定は未定と発表。25~27日のW杯(オーストリア)再開初戦を欠場する。
一部報道では3月2日のW杯(ノルウェー)から出場予定というが、高梨は7日、北京五輪混合団体1本目のジャンプがスーツ規定違反により失格に。おえつを漏らし、号泣した。その後、自身のSNSで真っ黒な画像とともに、謝罪文を掲載していた。
引退すら囁かれる中、13日には日本オリンピック委員会(JOC)理事の原田雅彦総監督が「元気になった。W杯に出場し、元気な姿を見せたいと思っていると思う」と話していたが、傷心は癒えておらず、すぐには試合に出られる状態ではなかったのだ。
これでハッキリしたのは、山下泰裕会長率いるJOCの「選手ファースト」の意識の低さだ。「元気になった」と言ってのけたJOC理事の原田総監督は、騒動の火消しを最優先したと思われても仕方ない。
混合団体では4カ国5人もの失格者が出た。行き過ぎたジャッジに各国から批判の嵐が巻き起こったが、JOCは誰が高梨に違反スーツを着させたのかという責任の所在を明確にしないばかりか、「今すぐこのルールに対して我々が抗議するということではない」(日本選手団・伊東団長)と選手の矢面に立たなかった。
フィギュアスケートのワリエワのドーピング騒動の際も、JOCは日本が3位に入った団体でのメダル授与式の延期決定に抗議せず、「係争中であり、コメントは差し控えたい」と頬かぶり。日本の悪しき「事なかれ主義」が選手を追い込んでいる。