高梨沙羅の五輪に度重なる不運 女子ジャンプの申し子はルール変更に泣かされ続けてきた
<競技前に全員検査でよくない? 抜き打ちじゃなくってさ>
北京五輪で初採用された7日のノルディックスキー・ジャンプ混合団体で、高梨沙羅(クラレ)を含む強豪4カ国の女子選手5人が、スーツの規定違反で失格するという前代未聞の事態に対し、困惑の声は広がるばかり。
失格の知らせに高梨はショックで泣き崩れたと報じられているが、高梨はこれまでも度々、ルール変更に泣かされてきた。
幼いころから圧倒的な強さを誇っていた高梨。当時は助走のスタート位置によって加点・減点される「ゲートファクター(GF)」というシステムがあり、高梨は飛距離、飛型の両ポイントを獲得できるスタート位置をコーチと相談しながら決めていたという。ところが、2014年のソチ五輪まで1年を切った2013年6月、FIS(国際スキー連盟)は「加点目的のゲート変更は認めない」というルール変更を決定。高梨はそれまでの常勝戦術の方針転換を余儀なくされてしまった。
そして臨んだソチ五輪。直前まで開かれていたW杯(ワールドカップ)では13戦で優勝10回という成績を収め、「表彰台は間違いない」と言われていたにもかかわらず、終わってみれば4位に。この時、高梨の優勝を阻んだのも、五輪から取り入れられることになった「ウインドファクター」というルール変更だったといわれた。