著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

レイズの「プライドナイト」が浮き彫りにした米国社会の保守的側面

公開日: 更新日:

 だが、6月4日にレイズが対ホワイトソックス戦で主催した「プライドナイト」では、レイズの5選手が虹色のロゴマークが使用された帽子とユニホームの着用を拒否した。

 その中の1人、ジェイソン・アダムがユニホームなどを着用しなかった理由として「信仰上の理由」を挙げると、SNS上ではレイズの取り組みを評価する声が上がる一方で、「『プライドナイト』は政治的な動きで、分断を生んでいる」といった球団への批判も起きた。

 確かに、性の多様化への理解が進んでいるとされる米国においても、誰もが「プライド月間」に無条件に賛同し、あるいは共感しているのではないという現実がある。

 しかし、アダムが「信仰上の理由」としたことは、主義や主張に先立つ、より素朴な心情が行動の背景にあることを示している。

 人間は生物の進化の過程で誕生したという進化論は、疑いようのない事実のように思われる。

 しかしながら、米国では人間は神が想像したという創造論の信奉が根強く、世論調査で「進化論を信じる」と答えた者が半数を超えたのは2015年のことだった。

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