学校給食センターで学んだ「組織論」 新たな視点でサッカーを見直すきっかけに
イタリア視察でサッカー界復帰の気持ちを強くする
2019年10月に学校給食センターを辞め、翌11月に欧州に渡った。
「千葉・佐倉市にイタリア・セリエAのACミランのサッカースクールがあり、経営を任されていた高校時代の後輩から『一緒に視察に行きませんか?』と誘われ、ミランとユベントス戦を現地で観戦しました。あと欧州CLのアタランタとマンチェスター・シティ戦も観戦しました。アーセナルでプレーしている日本代表DF冨安選手が所属していたボローニャにも出掛け、練習を見学させていただきました。監督としてサッカー界に戻りたいという気持ちが強くなりました」
いろいろな縁や導きもあり、予想もしなかった「タイで監督業を再開する」ことになった。少なからず戸惑いもあったというが、タイ人選手たちの「伸びしろ」を実感しながら指導を続けた。
「タイに赴いて実感したのは、もともとタイ人は身体能力自体が高いと思います。アグレッシブさもあって良いのですが、たとえば守備に関して言いますと、ボールを奪い合う局面などハイテンション過ぎるきらいもあり、ケガが心配になるほどの激しさです。なので『ここだ!』という局面でのスイッチの入れ方などが、とても大事だと思いました」
サムットプラーカーンシティで指揮を執っていた2020年、新型コロナウイルス禍に見舞われて石井監督自身、厳しい制限を強いられながらの生活を余儀なくされた(つづく)
(取材・文=絹見誠司/日刊ゲンダイ)