現地で過熱するMVP論争 大谷翔平の2年連続栄誉を阻む「マリスの呪い」とは?
ファンの間で語り継がれる逸話
マリスは61年、ルースのシーズン最多本塁打記録(60本)を更新したシーズン途中から、ルースを「神」とあがめるニューヨークメディアやファンからいわれのない誹謗中傷を受けた。ルースが活躍した1900年代初頭とは試合数やチーム数が異なることから、マリスの記録は認めるべきではないとして、長らくMLBの公式記録として認定されなかった。
ヤンキースを半ば追われるように移籍するなど、不当な扱いを受けたマリスの逸話はいまだに米メディアやファンの間で語り継がれている。MVPの投票資格のある記者にマリス信奉者が多ければ、大谷は昨年のような満票は期待できそうにない。
野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏がこう言った。
「大谷が史上初めて規定投球回と規定打席数に到達し、ジャッジがマリスの本塁打記録を更新すれば、どちらも偉業だけに票が割れるでしょう。近年では選手の貢献度を示すWARが重視されているものの、地区優勝、ポストシーズン進出の貢献度はジャッジに分がある。ヤンキース生え抜きの主砲がマリスの記録を塗り替えれば、東海岸の記者の票はジャッジに集まり、大谷への支持率が下がる可能性もあります」
二刀流は僅差で2年連続の栄誉を逃すかもしれないのだ。