千賀滉大「メッツと5年103億円」合意に3つの疑問…Rソックス吉田正尚よりなぜ安い?
「メジャーで評価が高いのは20勝投手より40本塁打の打者」
今オフのメジャーのFA市場は、コロナ禍からすっかり回復したかのような好景気に沸いている。
バーランダーが2年総額8666万ドル(約119億円)なら、デグロム(34=メッツからレンジャーズ)は5年総額1億8500万ドル(約253億円)。メジャーを代表する先発が年平均50億円超の金額を手に入れているだけに、千賀にしても5年125億円とか、5年150億円との見立てもあった。
ところが、フタを開けてみれば、「5年103億円」。メジャー実績のない投手が年平均20億円超なら十分という気もするが、レッドソックスと合意した吉田正尚(29)の「5年126億円」にも及ばなかったのはなぜか。
「メジャーでは総じて、投手より、野手が厚遇される傾向にあります。例えば20勝投手より、40本塁打の選手の方がその評価も高くなりがちです」とは野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏。
米紙コラムニストのビリー・デービス氏はこう言った。
「金額だけであれば千賀に5年で150億円近いオファーを出した球団もあったでしょう。球団のエースクラスであれば、それくらいの金額を手にしてもおかしくない。けれども千賀は、メッツではバーランダー、シャーザーに次ぐ先発3番手の位置付けです。先発3番手としては破格の金額だし、千賀がカネより何より勝つことを優先した結果でしょう」
■ニューヨークのプレッシャーに潰されないか
結果を出せばまるで神様のように褒め称えられるものの、期待を裏切ったときはこれでもかとバッシングされる。ニューヨークでプレーするアスリートはそれなりの覚悟が必要といわれるが、千賀は大丈夫か。プレッシャーに押し潰されたりしないか。
「同じニューヨークでも、ヤンキースとメッツではファンやメディアの見方がまるで違う。常に結果を求められるヤンキースに対し、メッツはダメでも明日があるさといったとらえ方をされる。例えば、ヤンキースで年に25億~30億円もらって5勝止まりならば嫌というほどバッシングされます。それだけに千賀に大きなプレッシャーはかからないように思う」(鈴村裕輔氏)
先発3番手という位置付けも、上に2人の“風よけ”がいるという点でプラスに作用しそうだ。