なぜ巨人の救援陣は打たれる? 中継ぎにもローテ導入した私が伝えたい「魔の八回」の処方箋
横浜(現DeNA)での監督時代、私は中継ぎ投手にもローテーション制を導入した。1年間の長いシーズンを見据え、負担の大きいブルペン陣の疲労を少しでも軽減するためだった。
投手とは、あらかじめこんな約束事を決めた。
(1)イニングをまたいで投げた投手は次の日の試合では使わない。
(2)1イニングで交代した投手に限って2連投までOKとする。
そして、実はこれが最も大事なことだが、投手にはこう言い添えた。
「オレは1度の失敗で選手を見切らない。ミスを取り返すチャンスは必ず与える。それでも打たれたって気にするな。その代わり、同じ過ちを3度やったら、二軍でやり直してもらう」
投手の中で最も過酷な役割を担うのが中継ぎ陣だ。3度で二軍だぞ、とは言ったものの、一軍レベルの投手が3試合連続でやられることはまずない。少しでもプレッシャーを軽減し、持っている力を発揮してもらうための方便だった。
今季、巨人がそのリリーフ陣の不調で苦境に陥っている。特に守護神の大勢へつなぐセットアッパーが決まらず、八回は5月に入って6試合連続で失点。イニング別の失点データを見ても、八回が23失点と最多で、ファンの間でも「魔の八回」と言われているようだ。ちなみに、昨季も78失点でイニング別の最多。勝ち試合をひっくり返されるケースも多く、これではなかなかチームの浮上は見えてこない。