佐々木麟太郎の後を追う球児が続出? 米国野球留学の実態を現役選手2人が打ち明ける
高校通算140本塁打をマークする花巻東(岩手)の佐々木麟太郎が目指しているアメリカの大学への留学は決して楽な道ではない。
一定以上の成績を収めなければ、部活動に参加することが認められないし、「カット」と呼ばれる、いわゆる「クビ制度」も存在するからだ。
学費もバカにならず、例えば佐々木が先月中旬に視察したバンダービルト大学の今季1年間の学費は約920万円。これに寮費などもろもろの経費が加わることになる。子を送り出す親にとってもハードルが高い。
■多種多様な奨学金制度
一見すると庶民には縁のない選択肢に思えるが、一般家庭でも子供を留学させることは不可能ではない。アメリカの大学には多種多様な奨学金制度が存在するからだ。勉学だけではなく、スポーツの実績はもちろん、部活動に所属するだけでも何かしらの奨学金を得られる学校もある。
「僕は短期大学から4年制の大学に編入して、今年は学費と寮費の全額免除に加え、食費代補助の奨学金をもらって野球を続けています」とは、花咲徳栄高で甲子園に出場し、現在はサザン・インディアナ大でプレーする外野手の太刀岡蓮さん(24)。短期大学の学費はピンキリだが、「とにかく安いところを探して、生活費込みで年間150万~200万円ほどのインディアンヒルズ・コミュニティーカレッジを選びました」と言う。
■ケガ予防する高い意識
短大から4年制大学への編入資格や奨学金を勝ち取れるかどうかはすべて実力次第だが、それを突破できれば、日本の大学の部活動にはない特別な環境が待っているという。
「部活動でお金がかかることはまずありません。遠征代は学校負担ですし、ユニホームの洗濯なども専門の業者がやってくれます。だから下級生が雑用を押し付けられることもありません。指導者もそろっています。普段の練習ではコーチ4人にマネジャー3人、コンディショニングコーチ、トレーナーがいて……。大半のトレーナーはハリ治療をできるから、施術を受け放題です。とにかくケガ予防への意識が高く、たとえば練習ではシートノックをあまりやりません。野手の肩や肘への負担を考慮しているからです。大学の試合と、希望者が参加できるサマーリーグを合わせて100試合ほどこなしたこともありますが、一度もケガをしていません」(太刀岡さん)