「日本一のマリーンズファン」が唯一怒った日
以前も触れたが、最もありがたかったのは、98年にプロ野球ワースト記録をつくった18連敗時である。
球団職員に聞いたところによると、球団事務所への抗議の電話はほとんどなかったという。それどころか、「目先の勝ち負けじゃない」「負けても応援しているぞ」と励まされ、目頭が熱くなったことは一度や二度ではない。「日本一のファン」といわれるゆえんだ。
■「優勝するための監督交代」だったが…
そんなファンも球団に抗議をしたことがある。
95年にロッテを10年ぶりの2位に導いたボビーが解任されたことが発端だ。この時、球団は「優勝するための監督交代」と説明。ファンはいったん引き下がったものの、江尻亮監督が就任した96年は5位。約束が守られなかったことで、同年の最終戦後にファンが爆発した。
球場正面に集まって球団に猛抗議。といっても、暴動というわけではなく、「応援したボクらのバレンタインをクビにしたのは『優勝するため』と言うから今年も応援した。それなのにBクラスの5位。どういうことか説明して欲しい」ということだった。球団代表が説明したことで場は収まったが、私が在籍した時代(89~05年)は低迷期が続いても、ファンが球団に怒ったのは、この一度だけだった。